新撰組（仮） 二

「水野？」


前から声がして顔を上げるとそこには庭に面した縁側に座り、こちらを見上げている齋藤さんがいた。


「あら、奏楽様、如何いたしまたか？」



庭には洗濯物を干す千春の姿があった。


無意識のうちにかなり歩いていたらしい。
…どうやらお邪魔のようだ。



「どうした、顔色が悪いようだが。」


いつの間にか斉藤さんに顔を覗き込まれていた。

いつも表情の乏しい彼だが、その瞳から心配の色がうかがえる。


けれどこの人はさっきまで千春といい雰囲気になっていたのであろうわけで。


「…いえ、大事ありません。それにしても、」


「？」


途中で言葉をとぎり意味ありげに庭からこちらを見つける千春をちらりと一瞥する。



「申し訳ありません、逢瀬、をお邪魔してしまったようで。」


「なっ⁈」


斎藤さんに聞こえるくらいの声で囁けば顔を真っ赤にして後ずさった。




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