新撰組(仮) 二

それをみてピタリと固まる。



「……………そっか」



「あ、こらてめっ、なんでそれを---」



じっと立ち止まって、どれくらい経ったかわかないけど唐突にポツリと呟いた声と前からやってきた土方さんの声が重なった。


発句集を手にした私をみてそれを取り返そうと土方さんが手を伸ばす。


私はそれより早く行動して土方さんの懐に入り込む。



「…これ、預かり物です。」



そして土方さんの胸にそっと発句集を押し付ける。


その後は周りがみても分からないくらいの速さで土方さんの腕の下をくぐり抜け、前に進んだ。



「…っ…」



顔を俯け、唇を噛み締めたまま。




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