「挨拶が遅れて申し訳ありませんでした、近藤さん。」


さきほどの庭での挨拶を終えた後、私は近藤の部屋にいた。


そこには山南さんと土方さんもいた。


「いやいや、元気そうでなりよりだ!」


そう言って近藤さんは豪快に笑った。


「はい、みなさんもお変わりなく…」


そこではっとする。


私、何かを忘れている気がする…

けれど、なにを忘れているのかは分からない

なんだ…?


この胸に靄がかかったかのような違和感は…
一体、なんだ?


「組の方も特には何も変化はありませんよ。…無事に戻ってきてくれて、良かったです…」


聞こえてきた心配の声は山南さん。

優しげな声音は以前と変わらず、優しいままであった。


「あぁ、それにしてもちと、帰ってくるのが遅かったんじゃねぇか?」


「こら、歳。
きちんと戻ってきてくれたんだから、それでいいじゃないか。」


「すみません、予定より長引いてしまって…一報をいれるべきでした。申し訳ありません。」


「…次からは気をつけろ。」


仏頂面のまま、そう言って土方さんは早々に立ち去ってしまった。


「土方君も素直じゃないですねぇ…」


やれやれ、と言った感じでため息をつく山南さん。


「うむ、あれでも頑張っている方だとはわかるのだが…」


心配そうに顔を顰めたのは近藤さん。


「そうだ、総司にはもう会ったのかい?」



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