新撰組(仮) 二

「…その『ご当主』を無視するとはいい度胸だな、久佐波。だが、気にするな。そんなお前でも私は何も感じないぞ。なぜなら私は寛容な当主だからな。」


ふふん、とまたもや得意げに胸をはる恭二。

そんな恭二に久佐波は軽く頭を下げた。



「その寛容なお心に甘えて今日は下がります。ご当主。」



そう言ってスッと久佐波は消えた。




「…」


くそ、またやられた…


はぁ、とため息をひとつついて部屋に入った。







日が高く昇り涼しい風が吹き抜ける京。

その一角、壬生浪士組の屯所で千春は洗濯を干していた。




「はぁ…」



奏楽様が屯所を出て行かれてから半年以上経つ…


やはり、もう奏楽さまは…


そう思っていると、誰かが砂利を踏む音がした。



「なにか御用でしょう、か…」


門から入ってきた人物を見て目を見開く。


「あ、千春、やほー…」