新撰組(仮) 二

「誰か、手ぬぐいと水を」

おじ様の命令で屋敷に戻るとすぐに女房が先ほど東宮に掴まれていた手を丁寧に清めてくれた。


……この国の第二位の方の扱いって……



「東宮は少々女遊びが過ぎるという噂がある…
 そんな男の手が…」


…おじ様、そんな男って…


部屋の上座で恨めがましく叔父おじ様が呟いた。



「…あまり気になさらないでくださいな。」


ふと、私の手を清めてくれていた女房が話しかけてきた。



「ご当主はいつもああなんです。
 千春ちゃんの時も…」



そこまで言って女房ははっと口に手をあてて頭を下げた。




「申し訳ありません…!!
 私のような人間が巫女様にこのような口を…!!」




「いえいえ、構いませんよ。
 敬語はやめましょ?ね?」



微笑みながらそう言うと、女房は恐る恐る顔をあげた。
私なんてこの国第二位の方にバカヤローと言ってましたしね、いやいや心の中でですけどね、さすがに。


浪士組にいたから言葉遣いが悪くなっちゃって…
嫌だわ~ほほほ。


…浪士組のみんな、今なにしてるのかな…

 

「ところで名前はなんていうんですか?」



「ひ、柊(ひいらぎ)といいます……」


「うふふ~、け い ご、なんですか?」