「なぁ、結局この戦争はどうなったわけ?」


 ルルゥが突然そんなことを言うからクロウは歩く歩を止めて後ろを振り返った。ルルゥたちの戦場からはすでに一日分は歩いた海沿いの路上のことだった。

「うやむやになったよ」

 なんだかわからない答えにルルゥは目をまん丸にして押し黙る。

「……それって終わったってこと?」

「当面はね。上層部どうしが共倒れしたからね」

「……」

「なんていえばいいのかな、蛇の頭がとられてしっぽだけが動いてる感じ?」

 まったく無駄だよねぇ、とくつくつと笑うクロウのようにルルゥは笑えずに口を引き結んだ。

「なに、どうかした?」

「…俺はしがない軍人だけど、自分に誇りを持ってるんだ……クロウが軍に対してどういう感情を持ってようと自由だけど、あまり軍を批判するようなことを言うな」

「―――あぁ、そっか。ごめん」