雲行きが怪しくなってきたと思ったら雷鳴が轟いて、一気にスコールになった。ルルゥとクロウは上から下までずぶ濡れになりながら、小高い丘に立っている巨木の虚に駆け込んだ。

「……すっげえ雨」

「うん、やむまで出歩くのは無理そうだね」

「あーあ」

「しょうがないよ。ちょっと休憩にしよう」

 虚はそれほど大きいものではなく、ましてや二人が入るにはギリギリだった。それでも雨に濡れるよりは幾分かましだ。

「――ね、」

「ん?」

「第七って、どんなとこ」

 沈黙よりは何か話している方が気が楽だとルルゥはクロウに尋ねた。ルルゥの知識では特殊能力者育成の施設であるより他に詳しいことはわからない。未知の場所に下調べもせずに突入することが危険だということは一介の軍人だったルルゥにもよくわかっていた。

「んー、なんだろう。変な人がいっぱいいるとこかなぁ」

「……つまりクロウみたいな奴ばっかりってこと?」

「うっわ、さらりと酷いこと言うんだ?」

 傷つくなあ、そう言って笑うクロウはさほど傷ついた様子はない。