「一筆?なにそれ?」


懐かしそうに父さんが遠くをみて微笑む。


「誓約書みたいな物かな。『返品お断り』って書かれた紙にサインしたんだ。それ見て泣きながら笑った顔を、今でも忘れられないよ」


「へー、母さんどんだけじいちゃん達困らせたんだろうね……」


あんな性格だから仕方ないかと、二人で顔を見合わせて笑う。


「ちょっと父さーん!片付かないから早くご飯食べちゃってよー!」