ふいに影が差す。
“何してるの?”
と、あいつは静かに尋ねた。
手元から目をそらさずに答えると、あいつは手伝うと言って隣に腰を下ろした。
“……好きだよ?”
あいつが急にそんなことを言うから、手にしていた紙コップを取り落としてしまった。
自分の心臓の音がやけにうるさく聞こえる。
……幻聴か?
そんな俺様の疑念を打ち消すかのように、あいつはもう一度言った。
“遥が、好きだよ?”
“……ははっ、ありえねー。
どうせその後に“紫水くんのことはも~っと好きです”とかくっつくんだろ?//”
期待してはいけない。
狼狽えながらもあいつの顔を見ながら言えば、思いがけず強いまなざしに抱きすくめられた。
“遥だけが好きだよ?”
カーッと、全身が燃えたぎるように熱くなった。
慌ててあいつの視線をさえぎったけど、指の隙間から見えていると言われて……。
ははっ、格好つかねぇや。
本当に俺でいいのかと確認する問いに頷いたあいつを抱き寄せ、
“俺もお前が好き”
と囁くと、あいつの桃の肌が赤く染まった。
あいつの温もりを腕の中に閉じ込めて思う。
すげー幸せだって。
やっぱりハズイから、そんなことは絶対に言ってやらねーけど。
離せと言われても、離さねぇと思う。
つーか、離せねーよ。
だから覚悟しとけよ。
お前は俺様が絶対に幸せにしてやる。
End.

