「前にもここに来たことあったよね?」


可笑しそうに言う声に俺はこくりと頷く。


耳を擽るその声が心地いい。



あの海の砂浜で。

二人並んで寝転んでいる。


あれから一年、か……。



「ヒャッ……」


潮風が吹いて。


寒い。


そう感じた俺の手は無意識に温もりを求め、彷徨う。


「あっ……//」


温かい。

冷たい俺の手に温もりがじんわりと染み込んでくる。


伸ばせば触れ合う手が嬉しい。

けれどそれでは足りない気がして。



「わわっ……//」


温もりを引き寄せ、腕の中に閉じ込めた。