「他に好きな人ができたなら、そう言えばいいのに……」
そんなことはない。
あり得ない。
「……もう、嫌だよ」
君の心が折れてしまいそうになった時、そっと手を差し伸べて言う。
『ごめんね、傷つけて。
でも、僕は君が好きだよ。
君だけが好き。
愛してる。
だから、僕のことを嫌いにならないで欲しい』
――希(こいねが)うように。
君の手が僕の手に触れて。
僕は強引に君を抱き寄せた。
ごめん、愛してる。
君の心を嫉妬で真っ黒に塗り潰してしまいたいと思うほどに。
どこかで、紫色の花が落ちる音がした。
End.

