4色のRain

目の前の花を手折って、自分だけのものにしたいという気持ち。

光と水を与え、育ててみたいという気持ち。


どうしたって、この2つが同時に叶うはずないのにね。



“ごめん”と、君に告げられて。


君を無理やりにでもこの腕の中に閉じ込め、胸に秘めたいという欲望と、君の幸せを願う気持ちが交錯していた。


激しい葛藤を経て、君の背中を押すと決めたのに、“仕返し”なんて言いつつ君の頬に唇を寄せた。


ズルイよね。

意地悪でごめん。


“中途半端なエゴならやめてください”なんて言っておきながら、一番半端者なのは自分だった。

僕は赤にも青にもなれない、紫。



君が幸せで嬉しいはずなのに、胸が疼く。


僕の中はいつも矛盾だらけ。



煩わしいネオンに背を向け、ドアの向こうへと歩き出す。


「せめてこの胸の痛みが消えるまで、君を好きでいさせて……」


最後の言葉は夜の優しい闇に溶けた。





END.