「……フッ」


薄く、自嘲の笑みが零れた。


柔らかな光を放つ街のネオンが纏わり付くみたいで今はただ煩わしく感じられる。


僕が欲しい光はたったひとつ。

身体中を焼き尽くしてしまいそうな、強い光だけだった。


君に手を引かれてここへやって来た時、そうであるはずがないという諦めと同時に、もしかしたらという淡い期待を胸に抱いていた。


なぜ君を好きになったのか?

今となっては正確なところは判らないだろう。

君に触れるうちに、気づいたら好きになっていた。


君に初めて会った時、すでに君のことは調べがついていた。

“会わせたい子がいる”という社長の言葉を不審に思い、手を回したからだ。



芸能家系の娘。


報告書からそんな情報を得て、つまらないと落胆した。


なぜわざわざ男としてこの業界に入ろうとするのかは判らないが、そんなことはどうでもいい。

どうせ、親の作り出した箱庭の中に居て、何の疑問も持たない愚かな女なのだろうと。

これまで見てきた多くの令嬢たちがそうであったように。