七色*

「私見ちゃったんだから。」
「何を?」
「棗ちゃんと疾風くんが彼かのになる瞬間だよ。」


にっこりと微笑む由真が怖くて。

つい手元にあった手鏡を投げた。


「あっぶないなぁ・・・。」


<カシャン!>


そう音を立てて、割れた。


「和田さん?!どうなされました?」
「あ、神崎さん・・・。」
「鏡。割れてるじゃないですか。これ、疾風さんからもらったんでしょう?」
「疾風・・?」


由真の声がかすかに聞こえた。


「集めなきゃ。集めなきゃ・・。」


異常だ・・・。
コワイ・・・。


「ちょっとあなた!」
「うるさいな!ちょっとどいてよ!」
「由真!」
「何よ?」


由真がこっちを向いた瞬間にぶった。


「いい加減にしてよッ!なんなのよ!」
「・・・は?」
「私、別に悪いことしてないよ!確かに好きな人のこと由真に言わなかったのは悪かったよ!でも、ここまでしなくてもいいじゃん!」


「あははははははははははははははははは!!!!!!」
「・・由真?」
『言わなかったのは悪かった?ふざけないでよ。私はね、必死に努力したのよ。」


それは知っていた。


「なのに。何の祖力もせずになんでも恵まれる棗ちゃんが憎かった。死ねばいいと思ったときもあった。」
「由真・・・。」
「私・・・。こんな自分が怖い。でも。私はそれ以上に疾風くんが欲しい。」


コワイ。

チカヅキタクナイ・・・。


「最後にいいこと教えてあげるよ。」
「え?」
「私、疾風くんのことスキじゃないの。でも・・・」


その言葉を聞いてゾッとした。


”棗ちゃんの好きな人って知ったから、好きな振りして。苦しめてるの。”