七色*

「あ、和田さん。いてよかったです~。」


この人は担当看護師の神崎さん。


「あ、すいません。友達のとこに行ってて。」
「いいんですよ。友達と息抜きしたいですもんね。あ、すぐに夕食準備しますね。」


私はその夜から、薬の効果が出て、激しい吐き気と嘔吐がきた。


朝、おきると、枕に髪の毛が抜けていた。


「い、いやぁぁぁああぁぁぁぁぁあぁああぁぁ!!!!!!」


覚悟していたはずのこと。

なのに、実際になってみると、すごく怖い。


「棗。落ち着くんだ。」
「いやぁぁああぁぁ!」
「棗!」
「疾風・・・くん・・・。」

疾風くんが背中をさすってくれる。


「あ、りがと・・・」
「はや兄。すぐに立ち直れるわけないよ。女の子にとって髪の毛が抜けるって。とっても辛いんだよ。」
「梨緒・・。」


なんで、梨緒は、私の欲しい言葉をくれるのに。
私は、梨緒を傷つけてしまうんだろう。


「梨緒ありがとう。」
「いいの。じゃあ私戻るね。」
「うん。」


時折見せる切なそうな目。

すごく気になるけど。
梨緒は応えてくれなさそうな気がして。


聞けなかった。



けど、梨緒。
梨緒はこの時聞かれるのを待っていたんだよね・・・。


ごめんね・・・。