壊された日常~消えていくクラスメート~

自分の中に湧き上がる想像から、俺は閉じられたままのグランドピアノの蓋を開けた




「まただ…」




グランドピアノの中には、男子が押し込まれていた




誰かは分からない




それほどにその男子の顔は原形をとどめていなかった




しかし多分、被服室での吉田君のことから察するに




今までの被害者の誰かなのだろう




とにかく、グランドピアノの中からはとてつもなく異臭がするので




また蓋を閉めておいた




俺達は音楽室を出て、何の宛もなくただただ廊下を歩いていた




先生も、他のクラスの生徒も、俺達以外は誰一人としていない静かな校舎




誰一人言葉を発しない