不合格の文字を見た瞬間、何の意味をあらわしているのかさえ分からなかった。
否、分かりたくなかったのだと思う。受かるだろう、と天狗になっていたからだ。
徐々に現実が距離を詰めてきた。それがゼロとなったとき、頭の中がぐちゃっと崩れ、口が半開きとなったまま目線を下に向けた。
数秒後、やっと整理がついた思考回路はよたよたと歩き始めた赤子のように働き始める。

ああ、どうしよう。
まず最初にそう思った。これからのプランはないし、わたしは何がなんでも想像した未来、予定を壊したくなかった。
ここで更に自分を責めた。甘すぎる、と。
この世の中には百パーセントというものはないのだから。分かり切っていたことだが自身に甘かったせいで。
キュッと口元を締めて目線を上げる。鏡の中に写っているわたしは整理がついたとはいえ、まだショックが続いていた。まさに顔面蒼白。せめてもの救いは引き締めた口元がピンク色になっていることだ。
随分長い感覚のように感じるが時計を見ると二分進んだだけ。

さきから母親の視線をちらちら感じていて心配してくれているのだろう。感謝しているし、どれくらいか、なんて言い表せない。それに本当に申し訳ない。

ああ、思考回路が完全復活した。