逃行少年

立ち上がると水戸は、壁に貼り付けてある、お金を数枚剥がして、僕にくれた。

手の上で乾いた泥が散らばる。

「君は、帰らないの?」

「どこに?」

水戸は、笑顔のまま首を振る。

だけど、その目が、あのイバラギの目と同じだ。

追い詰められて、爆発する寸前の、感情を映さない瞳…。

「僕は、ここに居た方がいいの?」

必要とされるなら…。

「いらない」

水戸は笑っている。柔らかな拒絶。