逃行少年

それから、どうなった?
なぜ、自分は、こんな服を着込んでいるんだろう。

「いいぜ、死んでも」

夢みるように、毎日は希薄に過ぎて行く。
自分が居ても、居なくても、ただ、過ぎて行くだけ。

ここで、こんなに必要とされるなら、この一瞬を必要と生かせるなら、

必要ならば、殺せばいい!

しかし、イバラギは笠絵ではなく、自分を刺したのだった。

それは、まるで、時代劇に出てくるサムライの切腹のように…

勢いのついた、イバラギのナイフは、彼の腹部を何度も切り裂き、腹圧で飛び出した腸や、ドロドロの血の塊や、抑え込もうとする、笠絵の手や、何もかもが、悪夢に見えて…。

笠絵は、動けなくなってしまった。

どれくらいの時間、そうしていたのか、わからない。


ようやく、職員に発見保護されたのだ。
監禁されていた笠絵…血塗れの姿で。