智那side.



『現実見なよ』




また、あの声が蘇ってきた。


鋭くて冷たい、あの声が。



でも――――




「るな」



私はるなを呼ぶことをやめはしない。


あきらめたら、そこで終わり。



でも、るなの背中は振り向かない。


その代わりに、遠ざかっていた背中がぴたりと止まった。