智那が音楽室を出て行ってからも、俺はその場から動けないでいた。 『奏太に思い出してもらうために』 さっきの智那の言葉。 冗談なんかじゃなくで、真剣な言葉。 俺だってらそれが確かならすぐにでも思い出したい。 でもそれは、今の俺には無理だ。 「思い出すってか……」 「何を?」 突然背後から声が聞こえ、俺はビクッと肩を揺らした。 振り返ると、そこには満面の笑みの怜が立っていた。