「……っ」 クロアが、静かに息を呑んだのが分かった。 気まずそうに顔を俯かせ、何かを呟こうとする。 ……だから、 「謝るつもりなら、やめてくださいね?」 先に釘を刺した。 咄嗟に口をつぐむあたり、おそらく私の予感は当たっていたのだろう。 リリスは腕を戻しながら、淡々と事実を告げる。 「私はすでに、両親の顔という物を覚えていません。 なので、別に両親の話をされても悲しくはありません」