『あぁ、いや、そうじゃなく…… クロア様に、気をつけてくださいね………?』 ――上役は、そう強く念を押したのだ。 その時には何の事かと思ったが、今ならハッキリと理解できる。 だから、 「クロア―――」 私は彼の肩に手を置くと、 「―――食べ過ぎです」 クロアの食べ歩きによって半分以上の金が消えた財布を持って、低く唸った。