リリスはしばらく大人しくしてから、小さく口を開いた。 「クロア様。こうしているのも結構ですが、そろそろ勉強の時間です」 「……………」 クロアは何も答えず、その代わり腕の力を強くする。 ……どうやら、今日の『勉強』の時間が嫌なようだ。 リリスはため息をつくと、クロアの耳元に口を近付け、 「……クロア様。今日の私の授業では、城下街に視察へ行くという事をお忘れですか?」 少々呆れ気味に、クロアの大喜びする日程を教えてあげた。