思わず目を開け、上体を起こす。 そして漆黒の瞳が捕らえたのは、 「……どうしました?」 仏頂面でクロアの前に立つ、華奢な身体と愛らしい顔立ち……リリスだった。 「あ、リリスッ!!」 クロアが普段通りに笑った瞬間、リリスが露骨に不機嫌な表情になった。 「………リリス、どうした?」 思わず尋ねるクロアに、 「……クロア様、何か心配事でもお有りですか?」 悩みの種本人が尋ね返す。 「何やら複雑そうな笑顔の様な気がしますが……」 ……その姿は、噂だとしても暗殺者には見えない。