――元来、クロア・ディーネとはこういう性格だった。 強烈な怒りや悲しみを感じる事はないが、 その代わりにいつでも穏やかな心でいられる。 笑っていられる。 ……よく『アホ』だの『脳天気』だのと言われるけど、 あながち間違ってないんだよな。俺の場合。 クロアは考えながら目を閉じて――――――刹那。 「何をしているのですか」 強い風と共に、凛とした女の声が耳に届いた。