「ったく、本当にリリスは何物なんだよ……」


と、ため息混じりに愚痴をこぼす。

クロアには、椅子に座った瞬間に縛りつけられたようにしか思えなかった。


しかし、リリスはすまし顔で、


「家庭教師ですが?」


何を今更、といった様子で応えた。

「ただの家庭教師が!!

庭の木に飛び移ったり、
男の足を一瞬でぐるぐる巻きにできるか!!」


「……できますが」


「それはリリスが普通じゃないんだよ!!」


必死に反論するも、


「そんな事より、早く次の問題を解いてください」


リリスは動じることなく、淡々と言う。