人形の微笑





【少女に、死の匂いが迫っている――最早一刻の猶予もない!!】


「ッ!!」


俺は、目の前が真っ暗になるような錯覚を感じた。


コルトの拳銃からは、ルスカがリリスを護ってくれた…と言った。


それなのに……


「なんで!?なんでなの!?」


クロアは、信じられずに叫んだ。だが、


【クロア!!早くッ!!

俺の背に乗せて少女を我が国へと連れていけば、まだ間に合う!!】


ルスカはクロアを急かしながら、自らの背に紅金色の翼を生やした。


「………っ!!」


クロアは混乱したまま、ルスカの背に飛びのる。


【振り落とされぬように!!】


ルスカはクロアが乗ったのを確認すると、助走をつけて丘から勢い良く飛び立った。



「――…リリスーっ!!!!」




その背に、悲痛な顔をした王子を乗せて。