人形の微笑





俺がそう言うと、ルスカは一つ鼻を鳴らした。


【クロアよ…お主はこれまで本気で何かを念じた事はあるか?】


「…………え?」


【魔法とは本来、人の強い思いが形を成した物。我等神々が王族に与えた力は、そのきっかけに過ぎぬ。


――その上で問おう。
クロアよ、私を太古の眠りから目覚めさせるほどの激情を、先程までに感じた事はあるか?】


「……………………」


クロアは俯き、沈黙した。


それが答えだった。


……思えばこれまで、こんなにも感情を表にした事は無かった。


自分でも驚く程の、激情。


それが俺の魔力を発現させ、さらに国の守り神を召喚しちまった…ってことか?


……………いや待てよ。
おかしいだろ!?