「……嘘、だろ」 その光景が信じられず、目をみはる。 『必ず、帰るから―――行って』 頭の中に響く、リリスの声。 始めて好きになって、俺のことを『好き』だと言ってくれた、俺の大切な人は今、 俺の視界の中で殺されようとしている。 「く…そぉ……っ!!」 ……クロアは、普段温厚な彼からは想像もつかない程顔を歪め、ギリッ!!と歯を噛み締めた。