人形の微笑




腰に腕を回され、体も顔もクロアにぐっと近くなる。


「………ぁ…」


……吐息すらも、クロアにかかりそうで…………。


心音が狂い出すのを感じながらもリリスは息を詰めた。


その緑の瞳に写り込んだのは、アホ王子ではなく、


『クロア・ディーネ』という一人の『男性』。


「ねぇ、リリス……」


クロアは片腕をリリスの腰に回すと艶っぽく囁いた。


「……は………ぃ…」


「あのさ。リリスは、暗殺者やめたいの?それとも……やめたくないの?」