その名も『特別戸籍補助法』。
特別な事情を持っている者の中で、王族など身分の高い者がその人間の身元を保障する場合、
その人間は、どんな人種・国籍の人間だったとしてもルスカ国の戸籍を得られるというもの。
それはつまり、クロアなら……私達が予定通りにこの国から逃げてルスカ国へたどり着いた後、
私にルスカ国の正式な戸籍を与えて、新たな人生を迎えさせる事ができるという事。
『リリス・エアリエル』という名前は捨てなければならないだろうし、外見も少しは変えなければならないかもしれないが……
それで暗殺者をやめられるのならば、安い物だろう。
………だが、問題はまだある。

