人形の微笑





「ここは……クロア様の部屋?」


「うん、そうだよ」


迷わず肯定された瞬間、昨夜自分がクロアの部屋に入ろうとしていた事を思い出した。


「倒れてたから、俺のベッドに寝かせてたんだけど」


「…………すみません」


「いやいや、病人なんだから気にしないでよっ」


クロアはそう言うと、ニッコリといつも通りに笑ってみせた。


しかし、その笑顔には疲労の影が色濃く浮き出ている。



――――それもそうだろう。



今までは安穏として暮らしていたはずなのに、私や他の暗殺者に命を狙われていると知ったのだから。


いつ殺されてもおかしくないこの状況。


見えないけれど、確かにそこにある『殺意』に神経が擦り減るのも仕方がない。


……特に、この一週間はちゃんと眠れていなかったのではないだろうか?


クロアの瞳の下にうっすらと浮かぶ黒い隈を見ながら推察する。