『戦争』というのは、


国民にとっては悲劇でしかない。


家族を失い、家を失い、日々の食べる物すら失う。



……だが、武器商人にとって『戦争』という物は儲けるための好機であり、


他人の不幸を眺めてすする、蜜の味を具現化したような存在だった。


戦争が起これば武器は飛ぶように売れるため、国民が痩せ細るのと同時に商人は多大な利益を獲得できる。


一夜にして築けるだろう巨満の富。


それにギルフラムが惹かれたために、クロアは狙われていたのだろう。


私はそう考えながら――…




持っていたナイフで、男の喉元を掻き切った。