「………!!」 ………気配を、感じた。 ――間違いない。 十中八九、この近くに王子が隠れている。 リリスは立ち止まると目を閉じ、気配を探った。 暗殺者として生きている以上、人の気配を察知するのは得意中の得意。 数秒、意識を巡らせると――… 「……………いた」 窓から見える、一つの木が目に止まった。 枝葉を茂らせ、青々と生きる木の上から、視線を感じる。