俺は、捺海の視線を感じながら箸を手に取った。 皿によそってあるしょうが焼きを一口食べる するとずっと黙っていた捺海が「こら!挨拶は?!」といきなり怒りだした。 いつもひとりで食っていた俺はそんな習慣なんてとっくになくなっていた。 捺海に言い返そうと思った瞬間、捺海が俺に言った言葉に思わず箸が止まった。 『「挨拶しないと駄目でしょ!? 挨拶は、食べ物は感謝する意味なんだよ!」』 この時、俺は捺海が一瞬だけ…あの女と重なって見えてしまった。