ぐいっーーーー 腕を掴まれ驚いて振り向くと春綺君は、あたしの腕を掴んでいた。 えっ…? 呆然と春綺君を見つめる。 だって、こんなの今まで一度も春綺君にされなかった。 たった、少しだけの沈黙が何故か妙に長く感じた。 暖かい風が静かに吹く度に春綺君の黒髪が動いてシャンプーの香りがほんのりと香った。