やばい、フランス語とかあたし分かんないよ。英語なら少しくらい分かるけど…
眉を寄せるあたしを見て春綺君は、優しく笑って「大丈夫だよ、せっかく来たんだ。気楽にしていいよ。料理は俺が頼んであげるから」と言った。
「あ、じゃあそれで」
すると春綺君は慣れた様子で店員に料理を注文した。
「凄いね、春綺君。フランス語話せるんだ」
「ん?まぁ基礎的なものなら少しね。でも尚希の方が俺より話せるよ」
「え?!」
あの最低男が!?
あの男がフランス語をペラペラ話しているなんて想像がつかない。
「普段あんなんだからびっくりするよね。俺も最初知った時はびっくりしたよ。尚希の家庭は教育が厳しかったらしいしね」

