その後、特に会話もなく沈黙が続いていると春綺君から声をかけてきた。
「捺海ちゃん。ここから好きな曲流していいよ」
春綺君は片手でナビに指を指した。
「えっと、じゃあー……」
ボタン操作で流す曲を選んでいるとある曲が目に止まる。
あ、これあたしが好きな曲だ。
「じゃあ、これ流すね」
再生ボタンを押すと懐かしいメロディーが車内に響き渡る。
「あ、捺海ちゃんこの曲好きなの?」
「うん。母親がたまにこの曲聴いてたから…」
「俺もこの曲、両親が好きで小さい頃から聴いてたから好きなんだ」
「え!春綺君も?」
「うん、この曲聴いてると凄く心が落ち着くから好きなんだ」

