そう、これがこいつの本性だ。




薄暗い部屋に春綺の冷たい笑顔がぼんやりと見える。



こいつは普段、紳士で優しく誰にでも平等に接して優しい笑顔を浮かべて王子みたいな振る舞いをしているが本性は違う。




俺のお気に入りに手を出して自分の客にして奪うだけ奪って最後は捨てる。




「捺海が俺の女だから次の獲物は捺海っていうわけか」




「話を聞く限り尚希は捺海ちゃんのこと他の客より大事にしてるみたいだね。それに捺海ちゃんは尚希のこと相当嫌ってるみたいだし俺が捺海ちゃんを惚れさせて奪えば尚希の悔しがる顔が見れるしでしょ?」




「こいつは俺様の女だ。俺の所有物を勝手に奪おうなんて許さない。それにこいつは春綺のものにはならねぇよ」




俺がそう言うとニッコリと笑う笑顔は消えて冷たい笑顔へと変わった。




「へぇ、なんでそう言い切れるの?」





「捺海はこの俺でも全く落ちなかった女だ。それをお前なんかが落とせるはずがないだろ」