「寝てたの?」
「うん。ドレスを選びに行ったら疲れちゃって。うとうとしちゃった。」
潤は、そっか。と笑顔で言い私の手を引いた。
「ご飯まだだろ?一緒に食べようと思って、お店予約したんだ。ベタにフレンチなんかどう?今日の話もいろいろ聞きたいしさ。」
「いいね。ワイン飲んじゃお。」
私達は並んで歩き出した。
潤の予約したフレンチは、電車で3駅ほど離れた場所のお店だった。入口のガーデニングはとても可愛らしく、お店の雰囲気も暖かく、和むような印象を与えられる。扉を開けるとスタッフが笑顔でいやっしゃいませ。と迎えてくれた。潤が予約を確認すると、窓際の席の方へ案内され席についた。お店の中心よりも断然窓際の方が落ち着くので、ゆっくり話ができる。気のきいたお店だなと思った。
「本日は起こしいただき、誠にありがとうございます。」
とても清潔感のあるスタッフだ。笑顔がよく似合っている。
「コースの方は、事前にお伺いした物でよろしいでしょうか?」
お願いします。と潤は言って、ワインのメニューを手にとり、私にどれがいい?と見せてくれた。
「うーん。どれが飲みやすいかな。」
ワインは好きだけど、銘柄を見てもちんぷんかんぷんだ。私は苦笑いでメニューを返した。
「じゃ、軽めのものを。麻美、赤か白かどっちがいい?」
「とりあえず白かな。」
じゃ、白で。と潤はスタッフに伝え再び私の方を向き微笑んだ。
「かしこまりました。」
メニューを受け取り、スタッフは下がった。すると、それとほぼ同時の勢いで潤が口を開いた。
「今日どうだったの?」
ニコニコと、早く聞きたくてたまらないと表情を浮かべている。
「えー。いきなり聞くじゃん。とりあえず乾杯しようよ。」
私は、何だかとても恥ずかしくなり窓の方に目をそらしてしまった。窓に写った自分の顔は、照れくさそうに笑っている。それを見ると余計に恥ずかしくなってきた。
「そんなに恥ずかしがる事ないじゃん。実は、真美ちゃんから先に連絡もらったんだ。写真と一緒に。」
え?と、思わず振り返ってしまった。その顔が面白かったのか、潤はクスクスと笑いだした。私が口をポカンと開けていると、
「うそだよ。」
と言って私の頭をなぜた。
「もー!ビックリしたじゃん。真美には連絡しないでって言ったのに。友情の危機になるところだったよー。笑」