「麻美、綺麗〜。すごくよく似合ってる。」
親友の真美は目をキラキラ輝かせて言った。
「そうかなあ。何か恥ずかしいね。」
純白のウエディングドレスに身を包んだ私を見て、真美は涙ぐみながらうなずいている。鏡の前に立って、改めて自分の姿を見てみた。真っ白なウエディングドレスを着ている私が写った。胸元はチュールで覆われていてとても上品な感じがする。フワッと膨らんだドレスはまるでおとぎの国のお姫様みたいだ。自分が結婚する事に今だに実感がわかない。
「潤君に写メ送らなきゃ!頑張ってお仕事してる最中にこんなの見たら、逆に仕事出来なくなったりして。ハハ。」
「ちょ、恥ずかしいから、マジでやめてくれない⁉」
真美は鞄の中から携帯を取り出して、写真を撮り始めた。
「送らないでよー。」
私の問いかけに、真美はペロッと舌を出し微笑んだ。せっかくなのに。といわんばかりだ。
「いいなー。真美も早く結婚したいよ。」
頬を少し膨らませて、うらやましそうにドレスを眺めている。
私も鏡ごしの自分を見つめた。ウエディングドレスかぁ…。やっぱり綺麗。もう一度着る事になるなんて、思ってなかったなー。私は大切にしまっている、ある一枚の写真の事を考えた。その写真にも、ウエディングドレス姿の私が写っているのだ。無論、その時は挙式や披露宴などといった具体的な事は全く決まっていなかったというか、結婚自体具体的に決まっていなかったのだが。私は鏡の中の自分に微笑んだ。