その頃音響さんこと新崎瑠威は通路の1番奥の控え室で昼食をとっていた。
周りに置かれている数本の弦楽器は、それを更に取り囲むように座っている弦楽器隊たちのものだ。


「お前のはメンテしたばっかじゃねーか」

「いやいや、最近調子悪いんだよまじで。」

「よくもまぁ、そんな何回も他人に愛用のギターあずけるよな。」

「瑠威なら請求できるからさ」

「どういう意味だこのやろー」


瑠威とdot.pointの弦楽器隊は何度も接し、かなり前からの付き合いなのだが、近頃接点がなく関わることのなかった両者にとって、この機会はとてもありがたいものであった。


「てか瑠威はやくリハ始めたいんだけどっ」

「あ、悪い。今行くから先入っててくんね?っつか、まだ開始予定まで数分あるけどね?」

「りょーかい致した、いこーぜっ」


昼飯が済んだら、と言うのは昼食終了の時刻とリハーサル開始予定の時刻が近いからだったのだが。

そもそも、リハーサル開始時刻は本人たちが1番詳しく知らされていると思うのだが、それは間違いだったろうか。

瑠威は、よくわからない彼らの思考について、軽く考え込んでいた。