「ごめん、真保。他に好きな女できた。」


司から別れを告げられてから数週間後。



「真保。遊びに行こうぜ〜」

親友の智華からの誘いに「おっけぇ」と軽く返事を返した。

ここは田舎町、夜遊びに行く場所なんて限られていて新鮮味が全くない。


智華の部屋に着いたアタシはタバコに火をつけて煙を吐き出した。

「何あんた浮かない顔してんのさ!!司にフラレたぐらいでメソメソすんな!次探しな!」


少し元気のいい智華はいつもこんな感じ。

司とは中学から一緒だった智華は誰よりも司をよく知っている。

化粧をなおしながら器用にタバコに火をつけた智華。「よし!行くか!今日は金曜日、いい出逢いがありますように!」


「ねぇ智華、ちょっと大袈裟すぎない?」
きっと何かを企んでるんだ。

「そう?」

「…」

「…しょうがないなぁ…じゃあ教えてやる。」

やっぱり企んでた。

「あのね、今日あの場所で卓人さん達が集会やるんだって!卓人さんに逢えるんだから気合い入るよ。」


卓人さんは一つ年上で高校の時なんて卓人さんの周りには女の子がたくさんいて、アイドル的な存在だった。

そんな卓人さんをずっと好きだった智華は卓人さん情報を誰よりも早く持ってくる。




アタシの車で向かった先は、いつもの場所。

毎週、出逢いを求めてやってくる男女で溢れるいわゆるナンパ広場みたいな感じの場所。


田舎と言ってもこの場所だけは毎週特別に盛っている。

ファミレス、カラオケ、本屋、コンビニなどが円みたいに並んでいて、その中心がいわゆるナンパ広場。