ふたたび
ラニーニャが目を覚ましたとき

エルニーニョの姿はどこにもありませんでした

エルニーニョは、ラニーニャを写す鏡の精に生まれ変わっていたのです

ラニーニャは家中の鏡にぜんぶ布をかけました

そうして、自分の姿を見ないように心がけました

自分の顕示欲と自惚れが、姉さまを酷い目にあわせてしまったのです

一度は死のうとも、思いましたが、それは辞めました

自分が死んでしまえば、鏡の中の姉さままで一緒に死んでしまうのですもの


そうして、一年に一度、姉さまが鏡の精になった日だけ、ラニーニャは鏡の中を覗くのです

そうして、鏡の中のエルニーニョの薔薇色の骸骨になった頬の部分に、そっと手をのせるのでした

「ごめんなさい。お姉さま」

そう言うと、エルニーニョは鏡の中でにっこりと、優しく微笑んでくれるのでした