人生で、初めて人の死に触れたのは小学四年生の頃。



床の間で、横たわるひいじぃちゃん。


痰が絡まっても、自分ではどうしようもできない。

排泄も自分では出来ない。

そんな状態だった。


「写真はこれでいいんじゃなぃか?」



「こっちの方がよくないか?」



まだ息のあるひいじいちゃんの隣の部屋で

大人達は、葬儀屋と打ち合わせをしている。



……なんで?



―――まだひぃじぃちゃん生きてるよ?




………頑張ってるよ?




…どうしてお葬式の話なんてするの?




苦しかった。

まだ生きてる人の側で、死ぬと分かってる様な話をするのが。


なんで?

なんで…!?



ひぃじぃちゃん頑張ってるのに…――




まだ幼いわたしは何にも分かっては居なかった。



只ただ悲しい思い出。

ひぃじぃちゃんとの思い出なんてあんまりないのだけど。


死に際の顔だけは鮮明に覚えている。



お葬式の、火葬で泣き崩れるひいばぁちゃん。



断面的な記憶。