「佐知子ーさーっちゃん?!どこいるのーっ!?」



わたしは、佐知子。

産まれて三年。

いつも週末になると、ばぁちゃんちに来るのが日課になっていた。


生まれてからわたしをずっと抱っこしてはなさなかった、春ばぁちゃん。



私の母親のお母さん。



大事に胸に抱かれて

いつの間にか、誰よりもばぁちゃんの近くに居た。


家に帰るときは、ばぁちゃん恋しくてよく泣いていたらしい。



私が気づいた時には、いつもばぁちゃん家に居た気がする。


広い白砂利の駐車場の隅には、鹿や猿もいた。


玄関の入り口の横には、池があったと思う。


広い敷地とデッカイ家。


そこには、私のひいばぁちゃん、ひいじぃちゃん、お母さんの妹も一緒に住んでいる。


今思うと、デッカイ家だった。


小さい私の記憶では

楽しい思い出の場所のはずなのに


今思い出されるのは
何故か暗くて
デッカイ屋敷。


そんな感想しか出てこない

じぃちゃんと、ばぁちゃんの部屋でよく寝ていたはずなのに



今私が見る夢の中では、いつも暗くて怖い場所。



それが何故だかわからなかった。




一つ思い出されるのは、お腹が空いて泣いたら

ばぁちゃんの背中におぶされて、台所まで行き、おにぎりを食べさせてもらってたこと。



わたしは泣けば、思い通りになる。

小さいながら、ワガママな子に育っていたのかもしれない。


自我が生まれた頃のわたしは、何もかもつまらなくなっていた。



欲しいものをねだれば、じぃちゃんが買ってくれる。

泣けば、優しくしてくれる

お腹が空けばお腹一杯食べれる。


そうやって甘やかされて、私は成長していく。