昭和60年―


寒いさむいこの日。


私は産まれた。


勿論生まれたての私の記憶は無い。


皆に囲まれて、とても幸せな普通の女の子だった。



「まぁー…色が白いっ!」

私のばぁちゃんにあたる、春さんが生まれたての私を大きな目で見つめる。


「かわいいねー早く抱きたいわー…」


歓喜のため息を漏らしながら、わたしを皆が見つめてくれていた。


望まれて産まれてきた、本当に幸せな子供だった。



母は23歳で私を産んだ。
父は27歳。


母は結婚してすぐにわたしを身ごもった。



普通の家庭で

父と母が愛し合い

望まれて出来たわたし。


身体も至って健康で、毎日泣きながら、スクスク育つ


ちょっと泣き虫で

恥ずかしがりなわたしだけど

時間がわたしの成長を促した。


キラキラした世界を目指して

小さな部屋から

色んな扉を開けていく―




其が人生。




わたしの道が始まった。