あなたは一度も。







蘭が私の腕をつかむ。



「あ...、そっか。
後で家で話すよ」



私はそう言った。




「ん。
じゃあ家で聞かせて。」






―――このとき


廊下から誰かが立ち去る音など私の耳には


全く届いてなかった。