「心配した。

でも、その顔を見て安心した」


一瞬たりとも、笑顔を崩さずに由利は私の頭を撫でてきた。

特に大人びた雰囲気を普段から持っているわけではないのだが、たまに私の頭を撫でるときがある。

細く美しい指先、柔らかく暖かい掌、そんな由利に頭を撫でられることが私は嫌いではなく、むしろ嬉しかった。

どんな褒め言葉や励まし、慰めなどよりも、由利に頭を撫でられるということが私にとっては一番だった。


「ほら、行くよ」


靴を履き替え、小さくジャンプしてこちらに手を差し出してきた。



こんな彼女だからこそ、きっと私は自分を出せてきたのだろう。

由利に対しては、自分の面で向かい合えたのだろう。